行政書士の蔵本徹馬です。
建設業許可取得人として日々活動しております。
専任技術者の専任の意味を考える
取得する工事業の専任技術者になれる方がいるかどうかという問題で、大変苦労して建設業許可を取得した、若しくは今まさに苦労しているという所でしょうか?
今回は、建設業許可取得ができた後の運用面についてのお話になります。
専任技術者と呼ばれる方の専任性とは何か?ですが、建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行を確保するためには、建設工事についての専門知識が必要とされています。その為、専任技術者として登録されている技術者は、営業所に常勤して、その専門知識を用いて請負契約の適正な締結・履行の業務に専念することとされています。つまり、専任技術者の専任とは営業所専任という意味ととらえてください。
おやっとなる方がおられると思います。そうですよね、各工事現場には、現場を取り仕切る主任技術者を配置しないといけない、いわゆる配置技術者の問題が出てきますよね。
主任技術者を配置する必要性
建設業においては、建設生産物及び施工の特性から、建設業者の施工能力が特に重要であり、施工能力を担保するため十分な技術力を有する技術者=主任技術者(一定の条件では、監理技術者)を各工事現場に配置することが義務付けられています。
そして、この十分な技術力ですが、これは専任技術者と同等の技術力が求められています。
じゃー専任技術者を配置しようかとなりますが、前段に記載した通り、営業所に常勤でないとなりません。ということで、専任技術者と同じ能力を持った技術者がもう1人いないといけないわけです。
結論から言うと、専任技術者として登録可能な技術者が、建設業許可を取ろうとする業者には2人以上いることが必要となります。
1人会社なんですが?
この様なご相談を多く受けます。
1人会社だったりすると、代表取締役が専任技術者として登録されているかと思います。そうすると、工事現場に主任技術者が置けなくなるから、工事の契約が出来ないじゃないかと。
これに対しては、営業所から一定の距離で、すぐに連絡が取れる状況の工事現場であれば、専任技術者を主任技術者として配置したとしても、即座に配置技術者違反には問わないという運用がされています。
ただ、この一定の距離と言うのは非常にあいまいです。各都道府県庁により運用が違います。その為、事前に確認をしておくことをお勧めします。
★注意!工事の請負金額が4000万円以上(税込)の現場は、その工事期間中は別の工事現場を兼任することが出来ません(現場専任)。今後、現場専任の運用については様々な視点から緩和されていく予定です。
建設業許可業者の責務
建設業許可が取れたら、建設業許可を適切に運用する、若しくは運用できる体制作りをしていかないとなりません。建設業許可取得時は、専任技術者になれる技術者1人で対応できます。しかし、建設業許可を取ると大きな工事をいくつも依頼されるようになってきます(私の経験上)。
そして、現場管理能力が要求されてきますので、専任技術者と同等の能力を持つ技術者の雇用及び育成はある種、建設業許可業者にとっては責務と言えます。
そして、この責務には、国民の生命・身体の安全を確保する建設物を作る体制作りをするということも含まれていると言えます。